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校長の窓8

2020年6月29日 09時56分

水泳練習とある親子の話(頑張りを笑顔に!)

  水泳にまつわる実際にあった話(今から13年前の話)と水泳指導に対する思いを紹介いたします。

  私が、近くのプールで5才の娘と水泳練習をしていたときのことです。そのプールに母親と小学生の女子(3~4年生ぐらいでしょうか。)がやってきました。そして、水泳練習をその親子は始めました。

  母親は、女の子にビート板を持たせて、クロールの息継ぎを教えていました。しかし、なかなかうまくいきません。やがて、その母親は、かなり強い口調で、「何で、できんの。できんのやったら、アイスクリーム買わんよ。」とその女の子を責め立てていました。女の子は、アイスクリームが食べたかったのか、恐ろしかったのか、泳げるようになりたかったのか、その心情ははっきりしませんが、その言葉に応えようと必死に泳ごうとしていました。

  しかし、残念ながら結果は同じで、うまく泳ぐことができませんでした。そして、その女の子は、とうとう泣き出してしまいました。それでも、母親は、泳がせようとしていました。女の子は、泣きながら泳ごうとしていましたが、息つぎどころではありません。ついに、その女の子は、思い切り水を飲み、咳き込んでしまいました。母親は、「泣くからいけんのよ。もうええ。」という言葉を発して、水泳練習は終了しました。女の子は、プールに立ったまま、しばらくの間、一人で泣いていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

  私は、心が痛みました。また、迷いました。「うち娘と一緒に水泳練習しませんか。」という言葉が、のど元まで出かかっていましたが、結局、声をかけることができませんでした。それからしばらくして、私たち親子も練習を終えました。そして、プールから帰るとき、再びあの親子を見かけました。女の子は、しょんぼりしながら、母親の後ろについて去って行きました。残念ながら、手にはアイスクリームはありませんでした。 


 

 

 

 

 

 

  この出来事は、今日まで、私の頭の中から消え去ることはありません。子どもは、「泳げるようになりたい。」と思い、母親も「泳げるようにしたい。」と強く願っていたことでしょう。しかし、残念ながら、この二人の願いは実現できませんでした。二人の願いを結ぶ「水泳の練習方法」が不足していたからだと思います。私は、この母親は、我が子のことをとても愛していると思います。だからこそ、休日に娘のために水泳練習を行ったのだと思います。もし、母親が水泳の練習方法をもう少し知っていたら、きっと、こうにはならなかったように思います。


 

 

 

 

 

 

 

  久良小学校では、全校児童16名の水泳技能習得のために、全教職員が水泳の指導方法を研修し、共有化を図り、全員体制で指導に当たる予定です。そして「子どもの頑張りを笑顔」に変えていきます。